建築用シーリング材のFAQ

(良くある質問と答え)

Kyowa Original Report


ポリウレタン系を硬化不良にするシリコーン系(変成シリコーン系)

Q 2成分形のシリコーン系をガラスまわりに施工し,まだ固まらないうちにポリウレタン系を窓枠まわりに施工したところ,ポリウレタン系の表面が固まりませんでした。原因と対策を教えて下さい。

A 2成分形に限らず,シリコーン系とポリウレタン系が固まらない状態で隣接したり,換気の悪い場所で同時に使用したりすると発生する現象です。

  これは,シリコーン系の反応生成物(ヒドロキシルアミン)とウレタンが反応するために発生するものです。また変成シリコーン系でも反応生成物(アルコール)とウレタンが反応するため同様の現象が発生します。したがって,シリコーン系(変成シリコーン系)を完全硬化させた後に,ポリウレタン系を施工すればこの現象を防ぐことができます。なお,この逆の順序ではこのような現象は生じません。


着色剤の増減でシーリング材の色調を変える

Q 2成分形シーリング材の着色剤(カラーペースト,カラートナー等)を減らして色を淡くしましたが,影響はありますか。また,着色剤を入れずに白色のシーリング材として仕上げました。物性面に影響はありますか。他社の着色剤を使用した場合はどうですか。

A 着色剤の量はシーリング材製造業者で耐候性,色調等を確認して決定しています。したがって,着色剤の量の増減で色調を変えると耐候性や色調が変化することがあります。特に着色剤を省くと,色調はもちろんのこと,耐候性が著しく低下しますので絶対に行わないで下さい。また,他社の着色剤を使用した場合,着色剤の配合内容が分かりませんのでどのような影響があるか不明であり問題です。着色剤の使用に際してはシーリング材製造業者の指定する着色剤及び量を必ず遵守して下さい。


 シーリング材の薄層部分の未硬化現象

Q 2成分形変成シリコーン系で施工した目地の緑が,表面部分だけ未硬化状態となりましたが,その原因と対策を教えて下さい。

A 一般に“薄層未硬化現象“と呼ばれているもので,2成分形変成シリコーン系に共通した現象です。この原因はシーリング材中に含まれる反応促進触媒が空気中の水分によって分解され,その効力を減じるためと考えられます。

  したがって,低温・多湿の条件下で薄層部分に起こります。また,薄層部のシーリング材は劣化や変色が発生しやすくなります。これを防ぐには薄層部分をなくせばよいわけで,施工の際,次の点に注意して下さい。

  1. へら仕上げのアールをなるべく小さくする。
  2. マスキングテープを目地の緑一杯に張る。打ち継ぐ場合には既存のシーリング材の上にマスキングテープを張り,薄打ちにならないようにする。
  3. シーリング材の表面に塗装を行う目地などにも必ずマスキングテープを張る。

防かびタイプのシーリング材の効果

Q 防かびタイプのシーリング材には,本当にかびは発生しませんか。

A 一口にかびといってもその種類は約20,000種にも及び,このうち建築物から検出される菌は約200種類だそうです。

  かびは乾燥状態にも耐え,低温でも時間さえかければ確実に増殖するといわれています。また,研究室や実験室に保管されている試験用の保存菌に比べると,実際の現場で発生する菌は100〜200倍も強いという見方が専門家の間にあります。

  したがって,防かび剤を添加しているシーリング材であっても,かびの発生を極端に遅らせるか,あるいは少なくする効果はありますが,現場の状態及び周囲の環境によってはかびが発生する可能性は残ります。かびを発生させないためには,やはり,シーリング材の表面を清潔に保つことが必要です。

 


他社のプライマーを使用した調合の是非

Q 2成分形変成シリコーン系を施工する際,工期に追われて,同系統の他社のプライマーを使いました。何か問題がありますか?

A シーリング材製造業者は,各種被着体に対する接着試験を自社のシーリング材とプライマーの組合せで実施しています。したがって,他社のシーリングと自社のシーリング材との組合せでは接着試験を実施しておりません。同系統とはいえ,接着性が不明なプライマーを使用することは,はく離事故の原因になりますので絶対に避けて下さい。


硬化後のクレーター対策

Q シーリング材を施工してから2〜3日後(シーリング材硬化後),表面にクレーターが発生し,全体があばた状になって美観上問題になることがよくありますが,その原因と予防法を教えて下さい。

A シーリング材の練混ぜ中に巻き込まれた気泡の中で,目地の表面に近い気泡が抜けたり,収縮したり,又は破れたりして起こるのが原因です。この現象は2成分形のように,現場で練り混ぜるものには,程度の大小はあるものの避けられません。対策として,次のような方法をとることにより,現象の軽減に効果があります。

 @手練り,ドリル練りなど,気泡を巻き込みやすい練混ぜ方法を避け,減圧脱泡,又はドラム回転形ミキサーで練り混ぜる。

 Aシーリングガンにシーリング材を充填する際,注意深く気泡を入れないように充填する。

 Bシーリング材を目地底まで十分に充填し,へら押さえを十分に行う。

  巻き込み気泡とシーリング材の性能については,特に大きな気泡がない限り,十分に性能を維持することができます。したがって,美観上,練混ぜ方法などの選択により,できるだけ気泡の軽減をはかるとともに,性能維持のためには,目地の深さを最低10mm確保することが重要です。

 


仕上塗材の軟化・変色

Q シーリング材の表面に仕上塗材を施すと,仕上塗材が軟化・変色することがあると聞きましたが本当ですか。

A シーリング材と仕上塗材の組合せによって,仕上塗材の軟化・変色などの汚染が発生することがあります。仕上塗材とシーリング材の組合せは膨大な数に上るため,全ての組合せについて確認されているわけではありません。なお, シーリング材の種類・メーカー・養生期間,仕上塗材のメーカー・下塗(シーラー)・中塗・上塗(トップコート)の種類などによって,汚染性に差異があり,特に水溶性や弾性のある仕上塗材は汚染する傾向がありますので注意が必要です。

  シーリング材の表面に仕上塗材を施す場合には,必ず事前に確認して下さい。

 


ボンドブレーカーの適・不適

Q 各種シーリング材に使用するボンドブレーカーの材質の適否を教えて下さい。

A ボンドブレーカーには,テフロンテープ・シリコーンテープ・ポリエチレンテープ・ビニルテープなどの粘着テープがあり,シーリング材の種類によって適・不適があります。テフロンテープは各シーリング材に共通して最も良好ですが非常に高価なため,他の適切なテープを使用することが多いようです。なお, シーリング材ばかりでなく使用するプライマーにも接着しないことを確認する必要があります。

 

シーリング材とボンドブレーカーの適切な組み合わせシーリング材の種類と適切なボンドブレーカーの種類

ポリサルファイド系

ポリウレタン系

シリコーンテープ,ポリエチレンテープ,テフロンテープ

シリコーン系

変成シリコーン系

ポリエチレンテープ,テフロンテープ

(マスキングテープやガムテープはボンドブレーカーとして不適切です)

 


密閉箇所での硬化不良

Q シリコーン系を密封された場所で施工すると,硬化が甘くなったり,硬化不良が起こりますが,なぜですか。

A シリコーン系は反応硬化する時に,反応副生成物(ヒドロキシルアミンなど)を揮散することによって硬化します。しかし,密閉された室内では揮散されにくいため硬化が甘くなったり,硬化不良の原因となることがあります。したがって,密閉された室内や換気の悪い場所でこの現象が生じた場合には,窓を開けたり,強制的に換気するなど,副生成物の揮散を促進する必要があります。


接着の難しい塗装パネル

Q フッ素樹脂塗料を塗装した鋼板やアルミニウム板などの外壁材が増えていますが,シーリング材との接着性に問題はないのですか。

A フッ素樹脂塗料やフッ素電着塗装及びアクリル電着塗装等の被菅体はシーリング材が接着しにくいものが多く,パネルメーカーが異なると接着性に差異が生じますので,プライマーの選定など必ず事前の接着性確認試験を行うことが必要です。


アクリル板・ポリカボネート板に対するシーリング材

Q アクリル板・ポリカボネート板へのシーリング施工の注意点を教えて下さい。

A アクリル板・ポリカボネート板はガラスに比べて耐衝撃性,柔軟性に優れ,また曲げ加工しやすい利点から,エントランス周辺や回廊などに使用される例が増えてきています。シーリング施工にあたっては被書面の清掃及びシーリング材の選定に注意する必要があります。清掃において溶剤は使用せず,きれいなウエス等で十分に乾ぶきし,ノンプライマーで脱アルコール形のシリコーン系を充填して下さい。清掃溶剤として一般に用いられているトルエン,MEK等の有機溶剤やプライマーの溶媒は,これらのプラシチックを白化させたり,ソルベントクラック(亀裂)を発生させることがありますので適していません。また,汎用形の脱オキシム形シリコーン系も硬化時に発生する成分によって,ソルベントクラックを起こす危険性が大きいので使用を避けて下さい。


塗料の代わりにシーリング材を使用

Q サイディングの釘頭や塗料がはがれた部分に同色のシーリング材で補修しましたが問題はありませんか。

A 釘頭の着色や塗料の部分補修にシーリング材を使用すると, シーリング材の厚みが極めて薄くなり,紫外線等の影響によって,チョーキングが発生したりします。この場合,塗料とシーリング材の色の差が顕著となり,意匠上問題が発生します。また,薄塗りしたシーリング材はゴムの劣化も早く,はく離が発生し,釘が錆びたりすることがありますので,塗料の代わりにシーリング材を使用することは絶対に避けて下さい。


サイディングの小口に使用されるシーラー

Q サイディングの小口に使用されるシーラーはシーリング材のプライマーとして使用できますか。

A 窯業系サイディングの小口に使用されるシーラーは,防湿を目的としたものでシーリング材のプライマーとしての役割は全く果たしません。したがって,必ず指定されたプライマーを使用して下さい。


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